一石(HSP入浴法)二鳥(コロナウイルス感染の予防とその感染長期化によるコロナ欝の防御)の 「HSP入浴法」

WHOは3月11日に新型コロナウイルス(COVID-19)について「パンデミック(世界的大流行)」と見なせると表明し、新型コロナウイルス感染は今や世界中に広まり脅威となりました。2020東京オリンピックも延期となりました。
新型コロナウイルス感染の長期化により、子供達(教育)、大人(不況、解雇、収入)、高齢者(感染、介護)への経済・生活不安・ストレスも長期化し、これからは、ウイルス感染による肺炎などの疾患のみでなく、先の見えない不安・ストレスによるメンタルな病気、うつ(コロナ欝)などの精神的・感情的障害も増えてくると予想されます。
ヒートショックプロテイン(HSP)の欝(感情障害)の予防・治療効果
実は、欝に関しては、昔から興味があり、欝の患者さんのHSPはキット減少しているに違いない、
HSP入浴法でHSPを増加してあげればキット元気になるのではと考えていました。
想いは通じる!!
まさに、桶狭間こころケアーセンター精神神経科部長 鈴木竜世先生と、「欝病とHSP」の共同研究する機会を得ました。
その結果、欝病患者さんでは、HSPが減少しており、HSPを増やすマイルド加温療法(HSP入浴法)でその病態が改善されることが分かり(2011年)ました。更に2017年には岡山理科大・徳島大病院から欝関与のタンパク質特定とセンセーショナルな発表がなされ鬱の発症にHSPが関与していることが明らかになりました。
最初は、のんびりできると楽観してたのが、コロナウイルス感染が長期化し、外出自粛や在宅勤務、休校などによる、運動不足、ストレス食い、欲求不満、家庭内でのいざこざ、DVまた経済不況による休業・倒産など精神的ストレスが蓄積する一方です。既にこのような状況が報告されつつあります。
メンタルな障害、欝などの精神的症状が出る前に防御の手段として(軽度であれば治療にもなる)、自宅でできる、HSPを増加させるHSP入浴法の実践をおすすめします。
欝病は、重症化するとなかなか治りにくい病気です。
自宅で過ごす時間が多くなる、今だからこそ、
家族で、楽しくHSP入浴法を実施して健康を維持していきましょう。
HSP入浴法が、「コロナ欝」に有効な根拠
1)欝(うつ)や躁(そう)などの感情障害の患者さんのHSP:(2011年)
・欝の患者さんは、HSPが有意に低下しており、躁の患者さんのHSPは正常値の人も低値の人もあり、傾向としては低下傾向にあることを臨床研究で確認しています。
・HSPが低下している欝の患者さんにHSPを増加させるマイルド加温療法を実施すると、HSPは有意に増加することを臨床研究で確認しています。
・欝の患者さんにマイルド加温療法を実施した臨床研究では、有意に臨床症状(抑うつ気分、不安、自律神経機能、握力)の改善が認められました。
*桶狭間こころケアーセンター精神神経科部長 鈴木竜世先生との共同研究
*上記の1)の結果は2011年日本ハイパーサーミア学会にて発表
2)動物実験で、うつ関与のタンパク質特定:(2017年)
・ストレスを与えて欝状態にしたマウスの脳の海馬でHSPが著しく減少しており、HSPを増加させる薬剤(GGA:テプレノン)の投与で欝行動が改善したという報告があります。下記の論文

3)精神科の医師達は、このまま流行が長引くと、日本経済のダメージにより仕事がなくなる人が増えれば精神科の患者が増えるだろう、また感染症恐怖症や不潔恐怖の悪化による清潔潔癖症の患者さんが増えるだろうと予測しています(20200327「新型コロナウイルス感染症の外来患者への影響」日経メディカル)。
よって、ウイルス感染による不安やストレスによるコロナ欝を防御するため日頃から「HSP入浴法」でHSPを増加させよう。
4)日本の新型コロナウイルス感染症の流行ピーク期を感染流行数理モデル(SEIRモデルで1/15~2/29までのデータから)で予測した結果、流行時の基本再生産数R0は2.6で流行は7月下旬~8月下旬にかけてピークに達すると予測されました。(J Clinical Medicine 2020年神戸大 國谷紀良先生)
よって、夏場のコロナウイルス感染の流行に備えて、あらかじめ「HSP入浴法」でHSPを増加させよう。
5)大きな災害の後の復帰過程において(例:2011年東日本大震災)
・災害直後はHSPが増加し(反ショック相)、身体を守ろうと頑張りますが(抵抗期)、ストレスが継続し状態が改善されないと、HSPも枯渇してきて身体を守れなくなり(疲弊期)、いろいろな精神疾患や自殺者が増えます。
よって、HSPが減少・枯渇しないよう「HSP入浴法」でHSPを増加させよう。
6)セリエのストレス説の警告反応期(ショック相と反ショック相)、抵抗期、疲憊期のうち、反ショック相と抵抗期にHSPは増加すると私は考えており、ストレスに耐え、ショックから立ち直るよう働くと思われます。
*基本再生産数(R0:各種病気の感染力)
・1人の感染患者がその感染力を失うまでに何人の未感染者に感染させるのかという人数。
R0<1 :感染は収束していく、 R0>1:感染の増加が起こる
*うつは本人では気づきにくいこともあるので、周りの人が早期に見つけ病院に受診するとともに家庭ではHSP入浴法を実践しましょう。
*HSP入浴法に関してはウイルス感染予防でのHSP入浴法の実際の手順と同じですが、今回は詳しく記載します。
HSP入浴法の実際
1)入浴の準備
・準備するもの
防水舌下用体温計(腋窩用でも良い)、防水タイマー、水分補給用の飲み物、乾いたタオル
・浴室床面に湯うちしたり、シャワーをかけたり、風呂フタを取っておいたりしてあらかじめ浴室を温めておく
・入浴は、手・足など心臓に遠いところからかけ湯をしてから湯船に入る
・湯船には、足・手・体と心臓に遠いところから湯船に入る。
2)HSP入浴法のレジメ
・40℃の湯温なら入浴時間は20分、41℃なら15分、42℃なら10分入浴する。
・体温上昇としては1.5~2.0℃を目指す。
(体温が低い人、例えば35℃の人が38℃になるのは大変ですので、1.5℃以上上がれば良い)
・最初は舌下用の体温計で舌下温(舌の下に体温計の先が当たるまで入れる)を測定しながら入浴し、
体温と温かさの感覚がわかるようになったら測定しなくても良い。
・肩まで浸かる全身浴が基本。
・じっと入浴していると、熱さが気になり時間が長く感じるので、手足のマッサージをしたり、運動(HSP入浴中の運動:HPに掲載)したり、歯を磨いたり、歌を歌ったりしている(結構、エコーがかかってうまく聞こえる)と早く時間が過ぎます。
・えらいなと思ったら、短時間であれば立ったり、湯船に腰掛けたりして休息しても構いません。
・のぼせやすい人は、入浴前に水分補給をすると良いです。
・入浴途中で水分補給をしても構いません。
・高齢者、体力のない人は、半身浴(みぞおち下まで浸かる)でも構いません。肩が冷えないように、片カバーを付ける、蓋を首元まで付ける、全身浴と交互にするなど工夫する。
みぞおち下まで浸かるだけなので、心臓に水圧がかからず大変楽にできますが、肩が冷えやすいです。
・持病があり心配な方は医師に相談する。
・入浴後は、身体の水分をよく拭き取り、冬場は浴室で下着まで着て出ても良いです。
(身体についた水分が体温を奪って気化していくので寒く感じる、しっかり水分を拭き取ってから浴室を出る)
3) 入浴後は、保温(水分補給も忘れずに)
・結構、蔑ろにされがちなのが、保温です。HSP入浴法は、この保温が締めなのでしっかり行う。
・冬場は、靴下履いて、ガウンやトレーナを着て、10~15分間、20~25℃の部屋で37.0~37.5℃を保って保温する。この時、大量に汗が出るので、水分補給を忘れずに。
体温が下がりそうなら、生姜紅茶など飲んで体温を維持する。
・保温の時間に、お肌の手入れや、体が暖まって筋肉も伸びやすいので「保温中にお勧めの運動」(ホームページに掲載)をしても効果的。
・保温が終われば、冷たい飲み物もOKです。
4)HSPの産生とHSP入浴の回数
・HSPは、HSP入浴の2日後をピークに1~3日間有意に高い値を示しますが、7日後にはもとの値に戻ってしまいます。(HSPは、1回実施すれば、ずーとそのまま存在するタンパク質ではなく、減少していく)
・HSP入浴は、一般には週に2回で良いです。
例: 土曜日にHSP入浴すると、2日後の月曜日にピークとなり、減少していく火か水曜日に2回目の
HSP入浴法を行えば、木・金曜日にHSPがピークになり、1週間比較的高いHSPが維持されます。
・今回のように、コロナウイルス感染の流行時には、週に3回(月・水・金など)実施するのが望まれます。
・HSP入浴日以外の日は、カラスの行水、ぬるめで長めなど、どんな入浴法でもかまいません。
5)追加
・HSP入浴日以外の日に“ストレス解消入浴“を試してみてください。
ストレス解消入浴には、体温を約1℃上げます。
入浴で体温が約1℃上がると心地よい熱さで、ストレスも軽減します。
・HSP入浴法では体温を約1.5℃上げるので、最初は、気持ちよいより少し熱めに感じますが、
慣れてくると気持ち良くなってきます。
HSP入浴法は、先にお知らせしたコロナウイルス感染予防のみでなく
今回のコロナ感染長期化によるコロナ欝の防御にも効果的です。

HSP入浴法ではHSPが増加し、ウイルス感染予防と欝の防御に役立つ、一石二鳥の賢い入浴法です。
ぜひ、実践してください!
参考
セリエのストレス説
1. 警告反応期:
・過度なストレスに対する警報を発し、ストレスに耐えるための緊急反応の時期です。
・初期のショック相では、心拍低下・血圧低下・体温低下・血糖値低下・筋緊張の弛緩などが見られますが、
反ショック相では、ショックから立ち直り、ストレスへの適応が本格化し始めます。
・この反ショック相の時HSPも増加し、身体をストレスから守ります。
2. 抵抗期 :
・ストレスへの適応反応が完成した時期で、持続的なストレスとストレス耐性が拮抗している時期です。
一見、生体が正常な機能を取り戻したように見える時期ですが、ストレスが続くとエネルギーが消費し過ぎて枯渇すると疲憊期に
突入してしまいます。
3. 疲憊(疲憊)期 :
・長期間継続するストレスに生体が対抗し切れなくなり身体は疲弊し、HSPも消耗し適応の限界となり、最悪の場合死に
至ることもあります。
*新型コロナウイルス感染の長期化は、HSPの疲弊による障害を招く恐れがあるので、HSPを増加させるため、自宅での継続的なHSP入浴法が望まれます。