涙は、なみだ・泪・涕とも書きますが、医学的には、涙液(るいえき)といい、目の涙腺から分泌される体液のことを言います。この涙、なんと、その時々の感情によって 涙の味が違う のをご存知ですか。
・悔しい時、腹がたたった時の涙は、塩辛く、しょっぱい涙。
・嬉しい時、悲しい時の涙は、水っぽく、ちょっと甘い涙。
涙は、人間の排出する物の中で一番キレイなものです。
是非、涙が出た時に、涙を味わってみてください。
*最近、感動しやすくなったのか、年のせいか、あくびが多いのか---涙が出やすくなったので、涙について書いてみました。
1. 涙は、どこから出て、何処へ行くのか。
涙は、上まぶたの内側にある涙腺から、排出管を通って出てきます。出てきた涙は、目の面、
特にしろ目(球結膜)、くろ目をうるおしながら、まばたきの作用によって、目がしらにある
下の小さい穴(淚点)から、細い涙の管(淚小管)を通って、目尻の上の鼻の横にある
涙の袋(淚のう)を通って、鼻への通路(鼻淚管)へ、そして鼻の中(鼻腔)へと流れて
行きます。起きてる時は、いつも涙が分泌されており、常に潤っています。
即ち、涙腺で分泌され、目の表面を通って潤し、淚道を通り抜け、鼻を下って最後に喉で再吸収→泣くと鼻水が出る。
2. 涙の役目
1)目の表面(角膜や結膜)に栄養や酸素を運ぶ
2)細菌・紫外線や目に入ったゴミを洗い流し、目を守る
3)雑菌の消毒(抗菌成分のリゾチームを含む)
4)まぶたを円滑に動かす潤滑剤
目をパチパチするたびに、目の表面に一定量の涙が送り込まれます。
まばたきは涙のポンプです。20~30回/分ほどまばたきを繰り返して
目の表面をリフレッシュさせています
→PC見つめて仕事してる人、時々まばたきして下さい!
*ドライアイ:加齢や目の酷使、部屋の乾燥によって涙が蒸発しやすくなったり、分泌量が減ったりすると、目が乾いて傷つきやすいドライアイの状態に陥ります。10秒以上目を開けることができない、瞬きの回数40回/分以上は、ドライアイの可能性あり。
3. 涙の種類
1)基本的な涙:ドライアイを防ぐため
健康な哺乳動物の目は、絶えず目の表面を(角膜を)
うるおった状態に保つために涙を分泌する。
2)反射的な涙:目を異物から保護するため
目にゴミが入った時、玉ねぎを刻んで目にしみた時など、
刺激を受けたときに防御のため出る涙。
3)感情の涙:感動(喜怒哀楽)したときに流す
自分の中に湧き上がった感情による涙と相手の気持ちに共感して流す涙で、
ヒトだけが流す。
*「感情の涙」については、次回のブログ “泣いてもいいんですよ” で詳しく述べます。
4. 涙の成分や量
涙は、人間の排出物の中で一番キレイなものです。(*ウンコやオシッコ等の排出物とは一緒にしたくない、ロマンがある)
成分は、98%が水、1.5%のナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリン、0.5%のタンパク質です。
涙が塩辛く感じるのはナトリウム(塩の成分)が含まれているからです。
涙のpHは、7.5~8の弱アルカリ性です。
即ち、血液から血球(赤血球・白血球・血小板)を除いた液=血漿と同じ成分です。
1日の涙の量:0.6~3ml(1年間涙をためても、ペットボトルに一杯にもならない)
1粒の涙の量:約0.2ml
泣いた時はもっと涙は多くなる。涙は、鼻の方へ流すだけでは追いつかなくなり、目からポロポロとあふれ出てしまいます。
大量の涙を流した際に出る鼻水は、涙が鼻淚管を経由して排出されたもの。
*リアルだな:昔のTVドラマや映画での泣くシーンは、目からのみの涙であったが、最近は、鼻からも涙を出している。
5. 涙の味
涙を出す涙腺は、三叉神経、交感神経、副交感神経の3つの支配を受けており、感情が高まるとそれらが涙腺を刺激して涙が出る
涙の“味の素”は、はナトリウム!
1)悔しい時、腹が立、怒ったりなど、感情が高ぶった時は
交感神経が優位に働く
→腎臓からのナトリウムの排出が抑制される→体液のナトリウム濃度が多くなる→怒りの涙、悔し涙は塩辛い。
2)嬉しい時、悲しい時は、感情が外に放出され、副交感神経が優位に働く→腎臓のナトリウム排出はよく機能する→体液のナトリウムの濃度は上がらない→嬉し涙、悲しみの涙はみずっぽく、少し甘い。
特に、感動して流す涙は量が多いので、塩分濃度が薄く、水っぽい味がする。
3)味覚センサー検証結果(味博士の研究所の結果より)
味覚センサー(甘味・旨味・塩味・苦味・酸味を区別)による「悲しい涙」「悔しい涙」「嬉しい涙」の分析結果
・全体的には、塩味が強い。旨味・苦味は弱く、ほぼどれも同じ数値。差が出たのは、甘味・塩味・酸味でした。
・悲しい涙は圧倒的にしょっぱい。塩味の強さ:悲し涙>悔し涙>嬉し涙。約95%の人が味の違いを感じる
・悔し涙は酸っぱい。酸味の強さ:悔し涙>悲し涙>嬉し涙。比較的味がしっかり感じられるのが悔し涙
・嬉し涙は甘い。甘味の強さ:嬉し涙>悔し涙>悲し涙。明確な味の違いはない、ほぼ差がない。
*バンダナ先生としては、しょっぱさはわかるのですが、イマイチ、甘さはわからない。
6. 赤ちゃんはうそ泣き? ----赤ちゃんは泣いても涙が出ない。
生まれた直後は脳の発達が不十分なため、感情的な興奮がなく、感情の涙が出ません。
生後3ヶ月までの赤ちゃんは、目を守るための涙は絶えず分泌されますが、反射性の涙もありません。
よって、うそ泣きではありません。
*子供が、まだ、赤ちゃんの時、泣く子供を一晩中抱っこしていたのが、思い出される。
7. あくびをすると涙が出るのは何故
あくびをすると顔の筋肉(顔面筋)が働いて涙の袋(淚のう)を抑え付けるため、淚袋に溜まっていた涙が逆流し、目から涙があふれてこぼれ落ちます。嘔吐、咳、強い痛みなどの刺激でも涙が出ます。
*何回もあくびすると、淚のうの涙もなくなり、涙はでなくなります。
8. 眠くなると目がしょぼしょぼしたり、目をこすったりするのは何故
眠るということは、脳や体が休むことです。
よって、眠りにつく前から、涙をつくる涙腺は涙の量を減らしています。
涙の量が減るため、眠くなるとめがしらがしょぼしょぼするので、
目をこすって、眠気をまぎらわそうとします。
朝起きた時も同様な理由で目をこすります。
9. 男性に比べて女性の方が涙もろいのは何故
1)涙腺にはプロラクチンが含まれており、女性は男性よりプロラクチンが1.5倍多いため、涙腺が刺激されやすい。
「涙もろい」ということは、それだけ自分を癒すことが多い→ストレス社会を生き抜くためには、いいかも知れない。
2)左脳(思考や理論を司る)と右脳(5感を司る)を連結する繊維の束の部分が女性は男性より70%も太い
→女性の方が感情を読み取ること、表現することに長けている→脳の構造上でも女性の方が感情を出しやすい→
涙を流す頻度が高い。
*プロラクチン:乳の分泌作用、乳腺の発達促進、性腺抑制作用などが知られている。
10. 日本人と外国人の泣き方の違うのは何故
1)日本人は目にハンカチを当てて泣きます:日本人は鼻淚管が細いため、涙があふれ出るので、目にハンカチを当てる。
2)外国人は鼻にハンカチを当てて泣きます:日本人に比べ鼻淚管が大きいため多量に涙が鼻へ流れ込むため。
*確かにハンカチの位置が違う。目にハンカチをそっと当てて涙をふくほうが、鼻水をハンカチでかむより、涙には似合っている。日本人でよかった。
**涙シリーズで次回のブログ “泣いてもいいんですよ” をご期待ください!!