No.20220415 ダイヤモンド と 鉛筆

1. ダイヤと鉛筆の価値観(1)

 

“ダイヤモンド(ダイヤ)と鉛筆、好きな方を選んでくださいと言われたら”、どちらを選びますか1 (1.好きなほう)

 

“ダイヤモンドも鉛筆もどちらも11000円です、同じ価値だとしたら、どちらを選びますか2 (2.同じ価値)

 

1は、バンダナ先生の近隣の人たち22名の1 2 へのアンケート結果です。

 

当然、1 ならダイヤでしょうと思いきや、約25%は鉛筆を選び、鉛筆を選んだ人の殆どは60歳以上の高齢者。

 

2のどちらも価値は同じとなると、どちらも50%と同じ。

 

60歳で分ける(11)60歳以下で 1 でダイヤを選んだ10代を含めた若者達は、

価値が同じ2 でもダイヤを選ぶ。同じ価値とわかっててもダイヤがいい。

 

60歳以上では1 ではダイヤと鉛筆は半々、価値が同じとなると殆どが鉛筆を選ぶ。

価値が同じ2 では、60歳以上と以下でダイヤと鉛筆が逆転する。

 

 

若者と高齢者の価値観が全く違う、興味ある結果だ!!

 

2.ダイヤと黒鉛(鉛筆の芯)の違い

 

ダイヤと鉛筆の芯(黒鉛)は、見た目も価値も全く違いますが、実は、どちらも炭素(C)だけでできており、成分的には全く同じものです。このように、同じ元素からなる性質や構造の異なる単体が2種以上存在するものを同素体と言う。ダイヤと黒鉛(鉛筆の芯)は、同素体で炭素だけからできていて、図2のように炭素(緑)の並び方が違うだけなのです。ちなみに、炭素は4本の結合の手(荷電子)を持っている。

2-1ダイヤ

ダイヤは金剛石とも呼ばれ、炭素は4本の結合すべてを最大限に遠ざける図2-3のように正四面体の頂点の方向に配置され、立体的で巨大な構造図2-1を形成する。また、結合自体が非常に強いため極めて硬い。

ダイヤは4個すべてを結合に使っているため、電気を導かず、電気伝導性はない。

 

2-2.黒鉛(グラファイト:鉛筆の芯)

黒鉛(グラファイト)では、3本の結合すべてを最大限に遠ざける図2-4のように正三角形の頂点の方向に配置され、網目状の平面構造図2-2を作る。また、その平面同士が非常に弱い力で結合し形成されているので、薄くはがれやすく柔らかい。

黒鉛は価電子4個のうち3個を結合に使い、残り1個の電子は自由に移動できるため、電気をよく導き、電気伝導性がある。

 

3.宝石の王様・ダイヤはなぜすごいのか?

 

3-1 ダイヤが高価なのは:ダイヤの国際マーケットを支配するデビアス社の商業戦略が功を奏した。


宝石の王様ダイヤの宣伝に、デビアス社はその美しさではなく、無色透明=純潔のシンボル、硬さ=永遠の、両者を合わせダイヤ=永遠の愛として宣伝「ダイヤモンドは永遠の輝き」した。これがダイヤの希少価値よりもダイヤへの憧れで女性の心を虜にし、世界中の婚約指輪(売る人が少ない)の殆どがダイヤとなった。

3-2 史上最大のダイヤは

1905年南アフリカの鉱山で発見されたカリナン原石(3106カラット、620g、体積180ml)で、これをカットした1番目530カラットで王笏(杖 )の頭に付けられ、2番目が320カラットは大英帝国の王冠に付けられている。

 

3-3 ダイヤは供給過剰? 

2011年、全世界のダイヤ生産量は1億3500カラット、27トン、推定埋蔵量は数兆カラットと言われており、希少価値はガラス並み?とも。なぜ、ダイヤの価格が下がらないのか:デビアス社が買い支えているから?

 

3-4.合成ダイヤ

1984年、最初にダイヤの合成に成功。 2015年では、150億カラットに達し、天然ダイヤの代替えとして需要も増加。殆どが工業用に使われる。

 

4. 黒鉛:黒い鉛ではない、炭素からできている。

黒鉛の4大特性は、熱耐性、潤滑性、熱・電気伝導性、化学安定性

黒鉛は層状の結晶構造が発達した炭素で、別名石墨とも呼ばれている。4つの特徴を生かした黒鉛製品は、あらゆる産業界に様々な場所で応用されているが、一般の人の目にとまることは殆どない。また、構造的に色々な波長の光を吸収するので、色は黒く見える

4-1鉛筆の芯:なぜ鉛筆で字が書けるのか

黒鉛は層状構造をしていて層間が滑りやすく、高い潤滑性があり、少しの力で1つの層がほかの層(紙)に対し滑るので、これが筆記時の滑らかさを与える。即ち、鉛筆で字が書けるのは黒鉛の層がずれながら紙に残っていくから。


4-2 鉛筆の歴史

1564年黒鉛が発見され、それを棒状にして使っていた。1795年仏のコンテ氏が黒鉛と粘土を混合する方法を発明し現在の鉛筆の芯の基礎となった。日本で最古の鉛筆は、徳川家康に献上され使われた(久能山の東照宮に保存)と言われている。

4-3 鉛筆の筆記距離

鉛筆1本(HB)で書くことができる筆記距離は約50㎞です。

 

4-4 鉛筆はなぜ6角形なのか                                 

鉛筆を持つ時は3本指(親指、人差し指、中指)なので、その倍数が正しく握れるとされている。また、ころがり止めでもある。

*色鉛筆に丸軸が多いのは広い面を塗る場合に芯の片側だけが減らないように軸を回しながら使いやすいから。


 

4-5 なぜ消しゴムで文字が消せるのか

1770年、英国化学者プリーストリー氏が天然ゴムで鉛筆の字が消せる事を発見。

塩化ビニルを原料としたプラスチック消しゴムは1950年代に登場。

紙に付着している力よりも強い力(消しゴムの表面の力)で引っ張ると黒鉛の粉はすぐに紙から剥がれ、消しゴムに付く。消した後は消しゴムの表面は吸い取った黒鉛で真っ黒になり、消しクズとなって捨てられる。

*押さえている手の親指と人差し指で三角形を作り、その中で優しく擦ると、紙を痛めずに消せる。

*色鉛筆が消しゴムで消えにくいのは、色鉛筆の芯の成分が油性だから。

4-6 消しゴム付き鉛筆の発明

1858年米国ハイマン・リップマン氏が、鉛筆に消しゴムをセットすることを思いついた。


5 フラーレン:炭素原子からなるクラスターの総称、天然にはきわめて希に存在              

あまり知られていないがちょっと変わった炭素の同素体にフラーレンがある。数十個の炭素原子からなる構造を単位とする炭素の同位体で、1985年最初に発見されたフラーレン(1996年度のノーベル化学賞受賞)は、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状のような構造を持ったC60フラーレンです。フラーレンは物理的に極めて安定で、水や有機溶媒に溶けにくい性質を持つが、化学反応性に富み、様々な分野での最先端の機能性素材として注目されている。

6. 炭素:元素記号"C"、原子番号"6"

 

6-1 他の元素との"結合の手"が4本あり、さまざまな化合物をつくるのが特長

炭素は地球上で多様な状態を示している(炭素循環)。炭素は地殻、海洋、生物圏、大気圏を循環しており、年間の移動量は約2,000億トンと見積もられている。炭素の特性は他の元素と結びついて化合物を作ること。これまでに天然に発見されたものと人工的に作り出した化合物の数は7,000万を超えるといわれているが、その約8割は炭素化合物である。

 

6-2 炭素は全ての生物の構成材料

炭素-炭素結合で有機物の基本骨格をつくり、すべての生物の構成材料となる。人体を構成する元素の約18%が炭素といわれている。蛋白質、脂質、炭水化物に含まれる原子の過半数が炭素である。光合成や呼吸など生命活動全般で重要な役割を担っている。

 

6-3 炭素は地球には少ない。

炭素Cは宇宙全体(原子数比)では4番目に多いが、地球全体ではランク外に少ない。また、地表での炭素の重量比も0.08%にすぎないため、生命は自然界にあるわずかな炭素をかき集めてかろうじて成立している、炭素は重要な元素である。

参考:「炭素はすごい」斎藤勝裕著、Tombow「文具の豆3」

あとがき

バンダナ先生としては、貴金属類にあまり興味がないので、1、2ともに大好きな鉛筆を選びました。ダイヤは無くても平気ですが、鉛筆がないと困ります。特に、消しゴムつき鉛筆が好きです。

このブログでもおわかりのように、価値観というのは世間的に作られたものが多く(ダイヤの宣伝文句のように)、世間に刷り込まれていきます。人人に価値観は異なって構いません。また、時代とともに価値観も変わります。

しかし、人は、自分の価値観や考えに合った情報ばかりを集め、合わない情報を排除し、自分が正しいと正当化します。

時々、自分に合わない、反対意見も参考にする心のゆとりを持ちたいものです。

高齢者諸君、つい頑固になり、自分の価値観を人(若者)に押し付けがちですが、気をつけましょう。

若者諸君、君たちもいずれ高齢者です。目の前の高齢者は、君たちの未来です。

高齢者に対する思いやりは、未来の高齢者である君たちへの優しさです。