名古屋大学研究成果発信サイトから2025年3月4日、『名古屋大学大学院生命農学研究科の小田 裕昭 准教授らを中心とする研究グループは、朝食欠食をして不活動な生活をするとメタボリックシンドロームにつながる内臓脂肪蓄積(ポッコリお腹)が起こることを明らかにしました。』との発表がありました。
身に覚えのある方も多いのではと思い、“ポッコリお腹の原因を探り、何とかしたい”と、今回はこの発表を取り上げてみました。
ポッコリお腹が一番多いのはやはり中年男性でしょうか、いやいや私も実は最近、ポッコリお腹が気になってきたんですという中高年の女性もいるのでは。そこでなぜ体全体に脂肪がたまる全身型の肥満ではなく、内臓脂肪がたまるポッコリお腹になるのか。
その対策はどうしたらよいのかについて、この研究から探ってみました。

本文での略語の意味
*太る・肥満:正確にはメタボリックシンドロームとは言えないが、本文ではほぼ同じとみなす
*全身型肥満:体全体に脂肪がたまる全身型の肥満で=皮下脂肪型肥満を言う
*ポッコリお腹:内臓に脂肪がたまるお腹ポッコリ肥満=内臓脂肪型肥満を言う
*朝食欠食:習慣的に朝食を食べないこと
*不活動(な生活):必ずしも運動をしてないことではなく、普通の生活で十分動かない生活不活動を言い、
健康障害を起こす(例:自然災害などの避難生活の人)
*不活動ネズミ:坐骨神経を切断することによって、通常の活動が半分以下に抑えられた不活動症候群モデルのネズミ
*アディポサイトカイン:脂肪細胞から分泌される生理活性物資の総称。アディポネクチン、レプチン、TNF-α、PAI-1などがあり、メタボリックシンドロームなど多くの病態に影響を及ぼす物質
I.今までの経緯
1.今までは、いわゆる“太る”のは血糖値を下げるインスリンが効きにくくなって、この状態が持続すると生活習慣病の前段階の
未病状態を発症しますが、生活習慣の改善により元に戻ることができると考えられています。
2.太る原因は、食べ過ぎ(エネルギーの過剰摂取)や油の取り過ぎ(動物性脂肪特に飽和脂肪酸)によって肥満になると考えられてきました。
3.肥満には1)全身肥満:皮下脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」と2)ポッコリお腹:内臓脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」の2種類があります。
4.特にポッコリお腹では脂肪細胞から健康に良くないアディポサイトカインが放出され生活習慣病に繋がることが分かってきました。
これまでの実験では、
ネズミに動物性脂肪の高脂肪食を与える→体全体に脂肪がたまる全身型肥満になるが、ポッコリお腹にはならない
II.問題点:どうしたら、ポッコリお腹(内臓脂肪型肥満)になるのか?
III.今回の実験
マイルドな高脂肪食を不活動ネズミに毎日食べさせて、さらに
1群:朝食を食べる群→全身型肥満になる
2群:朝食欠食群→体重が増えないにもかかわらず内臓脂肪が蓄積しポッコリお腹になる
結果:不活動と朝食欠食が組み合わさると→内臓脂肪が蓄積しポッコリお腹になる。

1 .健常人
2 .高脂肪食継続→全身型肥満
3.高脂肪食+不活動→全身型肥満
4.高脂肪食+朝食欠食→全身型肥満
4
5.高脂肪食+朝食欠食+不活動→ポッコリお腹
なぜ、朝食を食べないといけないのか?
朝食を食べないと→体内時計が乱れて体温上昇のリズムが遅れ→肝臓や脂肪組織の脂質代謝関連遺伝子のリズムも遅れる→脂質代謝が乱れて内臓脂肪の蓄積が起きることが判明
不活動の生活で朝食を抜くような不規則な食生活をすると、内臓脂肪型肥満(ポッコリお腹)につながることが分かった。
IV.この研究結果の【ポイント】
・朝食を食べないで、あまり動かない生活をすると内臓脂肪がたまることが分かった。
・ポッコリお腹の内臓脂肪型肥満は、その原因が不明だったが、生活不活動で不規則な食生活をすると起こることが分かった。
・内臓脂肪肥満は生活習慣病につながるため、規則正しい食生活で活動的な生活によって予防できることが分かった。
結論:特別な運動するということではなく、日常生活で十分動いて、朝食を食べるなど、
規則正しい食生活をするとお腹ポッコリ肥満を予防できることを示しています。
詳しくは、名古屋大学Press Release 20250304_agr4.pdf を参照
バンダナ先生から皆さんへの注意
最近、食べすぎで太ってきたことを心配して朝食抜きダイエットしたら、体重は増えないけどお腹ポッコリなってきたという方いませんか!ちょっと1日の自分の生活を振り返ってみましょう。
*日常生活の中での動きが少なくなっていませんか?
1. デスクワークの時間が長い。
2. ゲームにはまって動かない。SNSを長時間。ネットサーフィンを長時間。ドラマにはまって動かない。
3. つい、おっくうになって動かない(太ってくると、動くのがおっくうになる)
4. 散歩はしてるが(運動してるとの言い訳)、日常活動は減少。
5. 最低限は動いてるが、自発的な運動はしてない
*食べすぎていませんか。
1. 丁度いいなと分かっているのに、さらに食べてしまう→腹八分目
2. 満腹なのに、残してはもったいないと全部食べてしまう→残った分はフリーズして保存する
3. 別にどっちでもいい、置いてあるとついつい、食べてしまう→身近に食べ物を置かない
反省:おっくうがらず、こまめに動いて、食べ過ぎない! ですね。